マルトリートメントと生きづらさ

マルトリートメントとは、

「不適切な養育」と訳され、

子どものこころや身体の

健全な成長・発達を阻む養育環境

すべてを含んだ呼称で、虐待とほぼ同義です。


親が子どものためを思ってしていることが、

実はマルトリートメントに該当することも少なくないのです。


2017年に出版された、

小児精神科医で脳研究に取り組む

友田明美さんの著書『子どもの脳を傷つける親たち』に、

マルトリートメントについての実態が詳しく書かれています。


驚くべきことに、研究の結果、

養育環境からのマルトリートメントによって、

物理的に子どもの脳が変形するということが

明らかになったというのです。


脳とはつまり、心です。


心の傷は肉眼では見えませんが、

その影響は、学習欲の低下や、

非行や精神的な病といった形で現れる場合があります。


また、自己肯定感が低く、

どこか生きづらさを抱えたまま大人になる可能性もあります。


こうした研究の結果、

マルトリートメントの種類によって、

傷つく脳の場所が異なることもわかってきました。


子供が心理的・精神的マルトリートメント環境にさらされる原因は、

突き詰めて行くと、

そこには「家庭内のグリーフ」が存在したことがわかります。


・病気や障害を持つ家族や兄弟のいる家庭

・家族が介護や看護に疲弊している家庭

・DVのある家庭

・何らかのマイノリティーによる差別や偏見を受けている家庭

・依存症(アルコール・薬物・自傷など)の家族がいる家庭

・極端な信仰心を強要する家族のいる家庭

・経済的に困窮した家庭

・親の離婚やステップファミリーを経験した家庭

・災害や事故や犯罪などの被害や被災を受けた家庭


これら以外にも、

さまざまなグリーフが

この世の中には存在します。


養育者が、こうしたグリーフの影響により、

精神的・心理的に不安定で、

子供にとっての本来のあるべき

家庭内での「安心・安全」が確保される基盤が

脆弱になっている環境で育った子供は、


環境にあわせて自分のこころをコントロールしながら、

家庭内での自分の受け入れられる在り方を工夫するようになり、

本来の自意識や素直な感情を抑圧するようになってしまいます。


こうした経験を経て成長した大人は、

理由のわからない「生きづらさ」を抱えて

生活するようになります。


いろいろな本を読んだり調べたりして、

アダルトチルドレン、HSP(ハイセンシティブパーソン)、

複雑性PTSD(complex PTSD)、虐待サバイバーなど、

自分の心の状態に近い言葉を探し続けますが、

どの単語も限りなく自分の心の状態に近いけれども、

パチンと当てはまることがなく、


いつまで経っても自己解決できない

自分自身に対しての恥の意識(スティグマ)を抱いている場合が多く、

こうした方々は、他者に救いを求めることに背を向けて、

自己啓発に向かってしまうなど、

より自身を追い込み・追い詰めて苦しんでしまいます。


マルトリートメント環境から受けた心の傷は、

脳の中で「トラウマ反応」を起こします。


トラウマ反応は、免疫系や自律神経系などの

健康や体調管理をつかさどる機能に障害を及ぼしたり、

脳内のトラウマ刺激への過剰反応による

心理的・精神的な不調や不具合を引き起こします。


マルトリートメント環境から受けた

脳の傷によるトラウマ反応を、

本人は「自分の性格」だととらえてしまっている傾向があり、


それを他者との人間関係の中で

「理解されないことへいらだち」として孤独の中で苦しんでいます。


私たち、お話カフェ「ゆもりな」は、

こうしたマルトリートメント環境で受けた

心の傷のケアのためのピアサポート活動をしています。


ご自身が、こうしたグリーフを内包した

マルトリートメント環境のある家庭で育ち、

結果として、養育者は故意ではなかったかもしれませんが

「子供への虐待」と同等の環境を子供に与えてしまい、

それによって子供時代からの「生きづらさ」を経験された方のための、

お気持ちやお話を傾聴させていただき、

共に歩んできた人生を分かち合う場をご提供させていただいています。


お話カフェ ゆもりな

東京・市ヶ谷 毎月 第二月曜日 Open。 子供時代から続く 心の傷や生きづらさを 安心してお話いただける 傾聴カフェです。 参加費 500円 予約不要